複雑な磁気構造解析を行う際に有用な手法の一つに群論を用いた磁気構造推定法があります。このプログラムはその際に必要になる磁気表現の規約表現の基底ベクトルを計算するものです。この手のプログラムには有名なものとして BASIREP, SARAh や MUDY 等がありますが、本プログラムもほぼ同様なものです。一つ優れた点があるとすれば、空間群の規約表現を計算する部分から完全に独自に書かれている事ですが、逆に、もしかするとその部分の計算にはバグがあるかもしれません。お気づきの際は是非ご連絡下さい。
ものすごくいい加減に言うと以下のようになります。
常磁性相のスピンハミルトニアンは結晶の対称性を反映しているはず。
従って、そこから2次転移で形成される磁気構造は、それが変調ベクトルkを持つならば、結晶の持つ空間群のk位置での部分群(k-群)の規約表現に属するはず。
従って、スピン自由度に対して規約表現の表現基底を作成すれば、そのどれかが実現している磁気構造に対応しているはず。
但し、実際は複数の規約表現を含む磁気構造も多く見られます。
全部の規約表現を使用すれば任意の磁気構造が表現できるという意味で、この手法はパラメータの数を減らすものではありません。ただ、実現しそうな規約表現基底を与えてくれるという意味で答えに近い可能性の有る自由度の組み合わせを教えてくれる物です。
詳しくは:Izyumov先生の教科書(Neutron diffraction of magnetic materials, Consultants Bureau, New York, 1991)や門脇先生の波紋記事(波紋 Vol.10 No.3 P33)等をご参照ください。
-
-
次の欄に k-vector を入力してください。(0.5, 0.5, 0.5 等)
その次からは、磁気モーメントを持つ原子の位置を 0, 0, 0 等の形式で入力してください。結晶空間群の対称性から等価な点は自動的に生成されますので入力の必要はありません。最大で10点入力できます。
calculate を押すと計算が始まります。難しい空間群だと少し時間がかかりますので気長に出力をお待ちください。出力は暗号のように色々と出てきますが、一番最後に磁気表現の規約表現の基底ベクトルが得られているはずです。
web interface はかなり手抜きで作りましたので、色々と本来出来る事が出来なくなっています。もし何か機能的にリクエストがありましたらご連絡下さい。